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【フレーバーテキスト】
暗い暗い闇の中で、私は目覚めた。
なんだかずいぶんと眠っていた気がする。
ここは・・・、どこだ?
[ガチャガチャッ]
「うっ…」
身をよじると、固く、冷たい感触が手足に触れた。
どうやら私は円形の台座に磔られているようだ。
だんだんと闇に目がなれてきた、
すると、一人の男が私を見降ろしているのが見えた。
「貴様は…」
男は唇を歪めていった。
「目が覚めましたか、シェルガード」
忘れもしない。そこにいたのは過去に私を改造した狂科学者だった。
「まったく、あなたには困らされましたよ」
「………」
「12週に渡り、戦闘員245体、怪人12体、幹部1人、
一体どれだけ組織に損害を与えれば気が済むんですか」
「…組織が壊滅するまで、よ」
「ほう、組織の元幹部様のお言葉とは思えませんねえ、…ブラックキャンサー」
「…っ!その名で私を呼ぶなっ!!」
「いやはや見事な指揮でしたよねえ、【毒ダム決壊作戦】。
町中に響き渡る悲鳴が、昨日のことのように思い出せますよ」
「やめろっ!!」
「ふふふ、あなたは私の…、いえ、組織の最高傑作ですよ。
あなたさえ戻って来て下されば、組織の損失を埋めてお釣りがきます」
「・・・貴様の思い通りになどなるか」
奴はニヤリと笑うと近くに置いてある布を取り払った。
その下にあったのは、昔、私の心を狂わせた≪洗脳装置≫だった
「これがなにかはご存じですよね。
前のような失敗をなくすため、出力を50%上げて洗脳アルゴリズムに改良を加えました」
そういうと奴はその装置のレバーに手をかける。
くっ…。また…、また私に人を殺させるつもりか!
「 …… !! 」
口元から赤が走り、ぬるりとした感覚が顔を伝っていく。
「ほう、舌を噛みましたか」
クックックと奴は小さく笑った。
「その程度では死ねませんよ。…あなたは私がつくったのですから」
そういうと奴はレバーを握り、
「さようなら、シェルガード」
勢いよく落とした。
「がっっ…があああッ!!」
体に電流が走り、目の前が真っ白に明滅する。
猛烈な酩酊感と頭痛。
それと同時に頭の中に目まぐるしくイメージが流れこんでくる。
意識が定まらない、
何も考えられない、
だんだんと何が正しいのかわからなくなってゆく!
嫌だ!嫌だっ!私が消える!消えてしまう!
私の決意が!私の心が!
何か別の物に塗りつぶされていく!
助けてっ!
助けてっ!
助けてっ!
助けてっっ!!
………
……
…
心地よい闇の中で、私は目覚めた。
「目が覚めましたか、[ ブラックキャンサー ]」
「ええ」
一呼吸置き、[ シェルガード ]がもうどこにも存在しないことを確認して、
「…目が覚めたわ」
私は妖艶に笑った。